【リーディングドッグ】子どもの読書に寄り添う読書介助犬@北欧フィンランド

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こんにちは!ゆりえです!

フィンランド生活も6ヶ月目に突入した先日、最寄りの図書館で「読書×犬」というリーディングドッグの活動を見つけて、実際に体験してきました!

とても面白くて個人的にいろんな気付きもあったので、ブログにまとめます。

リーディングドッグとは?

音読に寄り添ってくれるリーディングドッグ

リーディングドッグ(Reading Dog)とは、読書犬や読書介助犬とも言います。

この活動では、リーディングドッグが参加者の音読に耳を傾けてくれます。

本を読むのは、犬ではなく「人」です。

『いやいや、犬は言葉分からないでしょ』という声が聞こえてきそうですが、そう、それが良いんです。

リーディングドッグの目的

リーディングドッグの目的は、参加者が人の目を気にせず音読を練習することです。

少し学校の授業を思い浮かべてみてください。

クラスのみんなが聞いているなか、ひとりだけ立ち上がって、声に出して教科書を読む…

読み方が分からない漢字が出てきたり、先生に声が小さいと言われたり、読むスピードが遅いから周りの子に笑われている気がする…

私たちは人前で話すときに、無意識に「相手の反応」を気にしています。

  • 相手に伝わっているかな?
  • 読み方間違っていないかな?
  • 下手だと思われていないかな?

このような不安や心配の中では、実は本当の意味で「音読練習」ができていなかったりします。

そこで登場するのがリーディングドッグです。

犬たちは、上手だ!下手だ!と評価するわけでもなく、読むのが遅いな〜と目線を送ることもなく、ただただ音読に耳を傾けてくれます。

だからこそ、子どもたちは「読むこと」に集中して、安心して音読の練習ができるのです。

いざ!リーディングドッグを体験してみた@北欧フィンランド

フィンランドの自宅近くの図書館で「リーディングドッグ」のお知らせを発見し、実際に体験してきました!

ロットワイラーの読書犬・デイジーちゃん

私の音読に寄り添ってくれたのは、ロットワイラーの女の子のデイジーちゃん!

この図書館では最近始まった活動らしく、現時点の活動日は毎月1日だけとのこと。

参加費は無料で、予約制(1枠15分間)。基本的には1人で参加します。

リーディングドッグにどんな本を読む?私の場合

予約をしたのは2週間ほど前。

予約時間の少し前にに図書館に着いて、館内で「今日読みたい本」を選びます。

この日選んだのは、フィンランドらしい「ムーミン」の絵本と、私が好きな「馬」の絵本。

英語の本にするか迷いましたが、あえて今回は全然できない「フィンランド語」の本を選びました!

時間になったので、図書館の受付の方に「リーディングドッグの予約をしていたんですけど〜」と伝えると、お部屋に案内してくれました。

いざ実体験!リーディングドッグを体験してみた流れ

ちょうど私の前の枠は5~6歳の女の子だったようで、図書館の方の「交代ですよ〜」という声掛けと共にバトンタッチ。

まずは、リーディングドッグのデイジーちゃんとハンドラーさん(飼い主さん)に簡単に挨拶。

ハンドラーさんと少しお話ししたら、いざ音読タイムです!

私は少し低くて広々したソファーに座り、デイジーちゃんはハンドラーさんの指示に従って私の足元に寝転んでリラックスしています。

今回は黙読ではなく「音読」です。

意味は全然分からないけど、フィンランド語を声に出して読んでみます。

すると、色んな感情が浮かんできます。

  • この読み方で合ってるのかな?
  • この発音で伝わるのかな?
  • このスピードでも意味は伝わるのかな?

今振り返って考えると、これらの感情は私が英語を話す時にいつも意識していることなのだと思います。

日本育ち日本生まれの私は、特に英語が好きでもなかったのに、いつの間にか海外暮らし5年目に突入。

これまで色んな国で英語をフル活用しながら、異国の人々とコミュニケーションを取ってきました。

「自分の英語が相手に伝わらない」という苦い体験を山のように積み上げてきた私は、「相手の反応」への意識が人一倍強いのかもしれません。

でも、今回は違います。

相手は犬です。

ハンドラーさんもすぐ側にいますが、彼女は彼女で持参した本を読んでいます。

同じ空間には居るけど、私の音読を指摘したり評価したりする先生でもない。彼女自身も「私はただリードを持っているだけよ」と話していました。

少し経つとそんな環境が心地良く感じるようになり、「スラスラ読むこと」「詰まらずに読むこと」をゴールにするのではなく、自然と私が思うように音読に取り組めるようになりました。

例えば…

  • セリフっぽいところを一息で言えるように何度か練習したり
  • 気になるページの単語の意味を想像しながら読んでみたり
  • すぐ側にいるデイジーちゃんの体を撫でながら読んでみたり

デイジーちゃんはたまにこちらを見上げたり鼻を寄せたりしながら、すぐ隣でリラックスして過ごしています。

「そろそろ時間になりますよ」

ハンドラーさんからの声掛けで、リーディングドッグの活動は終了。

デイジーちゃんはこの後リフレッシュの休憩があるらしく、部屋の出口まで一緒に出て行って、2人にお礼と別れを告げました。

体験を振り返ってみて

たった15分の短い時間でしたが、実際に体験すると色々な発見がありました。

まず驚いたのは、私は想像以上に相手の反応を意識していると分かったこと。

逆に言うと、相手の反応やちょっとした表情の変化から「伝わってるな」「伝わってないな」と判断し、表現を変えたり話し方を変えたりしているのだと思います。

コミュニケーションでは大切なことですが、自分の体を使ってどう音を出すかという「音読」の練習という意味では、相手の反応を意識し過ぎかもしれませんよね。

犬への音読で、私はいつも気にしている「相手の反応」を失いました。

(デイジーちゃんは人懐こくて、ただ可愛いだけ!)

音読って、こういうことなのか!と久しぶりに感じました。

効果を最大化するハンドラーさんの存在

もう1つ、体験を終えて気付いたことがあります。

それはリーディングドッグの活動中は、ハンドラーさんは徹底的に”空気”になってくれていたこと。

最初に少しお話しした時に「私はただリードを持っているだけよ〜」と話してくれたのですが、本当にその役割に徹してくれていました。

たぶん、私のフィンランド語はめっちゃ下手だったはず。

スラスラ読めないし、発音も間違っていただろうし、文章にすら聞こえなかったかも。

でも、笑うこともなく、褒めることもなく、指摘することもなく、ただただ”空気”になってくれていました。

なんなら、活動後の「フィンランド語の勉強がんばってね」「上手だったよ」という声掛けも無し。(終わった後は関係ない話やデイジーちゃんの話してた)

この「空気に徹する」というハンドラーさんの姿が、リーディングドッグの効果を最大化させるんだなと感じました。

ちょっと余談。フィンランドと図書館と犬

ここからは、ちょっと余談。

「フィンランドの図書館で犬の活動」というと、図書館に犬が入れるの?という疑問が出てくる気がしたので少し解説しますね。

フィンランドでは、人権ならぬ「犬権」が社会全体で認められています。

犬たちは、レストランやカフェ、電車、バスにも一緒に乗れるのが一般的です。

この前電車に乗った時には、自転車を持った飼い主さん&お気に入りのフリスビーを咥えたワンちゃんのペアが電車に乗ってきてめっちゃ可愛かった…!!(電車には自転車も持ち込める)

そして、フィンランドの図書館も日本とは少し違います。

図書館は本を借りれる場所だけではなく、公民館・児童館・市民サポートも兼ねた施設なのです。

館内には高齢者、子育て、外国人の暮らしや困りごとに関する様々なお知らせや活動が掲載され、困ったことがあればスタッフさんに相談もできます。

すぐ隣には、地域の子どもが自由に過ごせる児童館みたいなエリアもあり、放課後の時間帯にはたくさんの子どもたちが集まっています。

そして、いろんな部屋もあり、何も活動がない日は子どもたちの居場所になったり、予約制の市民活動ができたり。リーディングドッグの活動も図書館の一室で行われました。

こうした背景もあって、図書館という室内で犬のアクティビティがしやすいのかもしれません。

フィンランドのリーディングドッグの歴史

リーディングドッグの体験が思った以上に面白かったので、色々調べてみました!

次回のブログでまとめるのでお楽しみに〜!